どこをどう探してみても、楓先輩と大雅が一緒に写っている写真を見つける事はできなかった。


大きく肩を落として教室を後にするあたし。


今日も大雅は頑張って練習をしているのだろう。


そう思い、その足でグラウンドへと向かった。


グラウンドのフェンス越しに大雅を見ている楓先輩の姿があった。


やっぱり、いると思った。


あたしは離れた位置に立ちグラウンドへと視線を向けた。


サッカー部は今からウォーミングアップを始めるみたいだ。


「彼女のくせに、来るの遅いよねぇ」


そんな声が聞こえてきてあたしは楓先輩を見た。


楓先輩はニヤニヤと嫌らしい笑顔を浮かべてあたしを見ている。


完全に敵視されているようだ。


「あたしも忙しいんで」


あたしはなるべく感情を表に出さないようにそう言った。


ここで怒っていては負けを認めたようなものだ。


「大雅君、かわいそぉ」


楓先輩の後ろからそんな声が聞こえてきて視線を向けると、そこには見たことのない2人の2年生が立っていた。


2人とも美人だが、楓先輩には劣る。