幼なじみのお兄ちゃん的存在。
皇雅くん…
私の初恋の相手…咲雪には秘密。
相手にしてもらった事がない。
いつも子供扱い…。
切ない…こんなに近くにいるのに。
見た目はやんちゃそう…真面目には見えない。
同級生によく紹介してとか言われる。
オシャレだし…イケメン。
街で見かけると車から手を上げて、クラクションを鳴らしてくれる。
自慢…私のお兄ちゃんだったらいいのに…
よりによってタイガかぁ…。
お兄ちゃんは本当にお調子者。
友だちみたいなお兄ちゃん。
バカだけど…。
皇雅くんはいつもかわいい彼女を連れている。
だけど、いつも…「好き…かわかんない…」
好きじゃないの?
だから長続きしない。
幼なじみだから、近すぎて「好き」なんて言えない。
冗談ぽく「彼女にして」って言ったら…
「茉叶は…妹みたいな存在だから」
あっさり…傷つく。
笑ながら言われた。
くしゃってなる目…かわいい。
だけどね…高校生になって咲雪と出会った。
絶対、友だちになりたくて話しかけた。
キレイで話しも合って、一緒にいてラクな子。
見た目によらず性格はあっさり。
ブリッ子しない。
咲雪も彼氏と続かない。
「好き…ではなかった」
こんな感じ。
親と仲良くないし、いつも何かに追われてるように勉強してる…。
時々遊びに来てくれて、恋話や学校の事、咲雪の愚痴、私の愚痴…何だかんだと話してあっという間に帰る。
楽しいとあっという間…
授業中なんて誰かが時計の電池抜いたんじゃないかと思うほど長いのに…。
そんな時、タイガに聞かれた咲雪の事。
「皇雅、会いたいんだと」
皇雅くんは咲雪がタイプかぁ…。
「彼女は?」
彼女いるじゃん…
今までとちょっと違う…厳つい彼女。
「別れるらしいよ」
「へぇ…別にいいけど…」
「じゃあ…よろしく‼」
バーカ‼良くない。
よろしくって…ショック。
まさかこんな身近で彼女にしちゃうの?
叶わないじゃん…
一応…私、彼氏いるけど…
私の彼氏は…バスケ部の爽やかな感じ。
部活優先…だけど応援してる。
彼氏なんて物足りないくらいが良かったりしてね?
ほとんどケンカしないし、そんな暇あるなら楽しい話ししたいし…
意外にも純粋な私。
タイガがセッティングしたバーベキューに何も知らない咲雪を呼んだ。
皇雅くんは顔が赤いし、視線は咲雪ばっかり…
ちょっとヤキモチ。
私にも優しいけど、優しさの種類が違う。
愛しそうに見る視線はなぜか痛い…。
私は女の子をこんな風に見る彼を初めて見た。
だから余計にショック…。
二人を見てると…絵に描いたようなお似合いカップル。
お互いを見つめ合って笑う。
こんな咲雪の顔も初めて見た…。
いいなぁ…うらやましい…。
あっという間に付き合った二人は幸せいっぱい。
皇雅くんも顔が優しくなったし…
咲雪もよく笑うようになった…
どんどんキレイになっていく咲雪は純粋に恋をする女の子の顔。
だけど…気になる…みさき。
たまに見かける…家の近くで…。
タイガには報告したけど「気にすんな」
だって…バカ。
最近、咲雪は元気ない日が目立つ…
「皇雅…変わった…別れ近いかも」
あんなにラブラブだったのに…
私はみさきを見かけた時、声をかけた。
「何か?家の人、呼びましょうか?」
まさかこの日…咲雪が居たなんてね…。
私のタイミング悪いお節介のせいで、きっと…別れてしまった…。
みさきを変に煽ってしまった。
「かわいい彼女いるんで…邪魔しないでください」
言わなきゃよかった…。
今でも咲雪に謝れずにいる…。
皇雅くんは「俺の責任だから、茉叶は関係ないよ」
「余計な事すんなよ」って怒ってほしかった。
謝ろう…謝ろうと思っているうちに咲雪は退学した…。
急に立てなくなってしまうみたいで…
寂しくなる…一番大好きな友だちと一緒に卒業したかったのに…。
その事、皇雅くんに教えた。
すごく心配していた…だけど、今はまだ連絡できないから…支えてあげてって言われた。
咲雪が求めてるのは私の手じゃないのに…
時々、メールした。
だけど…話す内容が見つからなくてメールの回数が減った頃…
-ピコン-
皇雅くん…
咲雪、モデルやってるんだな…
地下鉄のホームのポスター咲雪だろ?
毎日通ってるのに気づかなかった。
色々な広告見てたのに…
咲雪に会いたくて家を飛び出した…広告を見に…
キレイで…私の大好きな笑顔…
嬉しくて涙がでるよ…
元気そう…でも私より大人になってしまった気がして…
寂しくなっちゃうよ…。
咲雪に会いたいなぁ…。
-タイガ-
いい気分だったのに…よりによってタイガからのメール。
内容だって大した事ない…
プリンかアイス買ってきてかな…?
あっ…違った…
皇雅が咲雪に会いからまたバーベキューするわ。
連絡しといて。
皇雅が来るのは秘密な。
よし‼
切り離しちゃった二人の赤い糸…もう一度繋ぎたい‼
だから…咲雪にメールした。
二人がまた…一緒に笑えるように…
赤い糸が消えちゃう前に…
私の咲雪への「ごめんね」の代わりに。
きっと…まだ…両想いなハズだから…
一度切れた赤い糸は結ぶと強くなるから…
私にとっては大好きなお兄ちゃん的存在の皇雅くんと…
大好きな友だちの咲雪の幸せを…
いつも願っているよ。
毎日会えなくなった今は毎日会えていた時より…
大切に思う…。
私の高校生活は何とか楽しくやってる…
彼氏が支えになってくれて、クラスの子たちとバスケの試合見に行ったり…
咲雪に負けないくらい充実してます‼
茉叶はいつも元気にやってます‼
私の取り柄だから。