「千尋は自分が本当に好きな人と結婚しなくていいの？」
「恋なんて、いままで一度もなかったし。」
「そりゃ、あんた最初に正直に言っちゃうからでしょ。何年も付き合ってるハイスペックな男がいるって言いふらして回ったら、何も無いのはアタリマエよ。本当に不器用なんだから。」
美樹はあきれ顔だ。

「千尋。美樹も私も、貴女のことを心配してるよ。そんな気持ちのまま結婚して、本当に大丈夫？」
「そんなの。わからないよ。。」
「ヒロミチくんだって、一生、片思いを続けるんだよ。千尋と別れれば、ヒロミチくんを本当に好きになってくれる女の人と結婚できるかもしれないのに。」

私が仏頂面で２人にお説教されていると、唐突にドアベルが鳴った。

「ルームサービス？」「ちがう。」
「別にうるさく騒いでないよね？」
「もしかして、亜由美じゃない？」

私達３人は、今していた鬱な話題を一瞬で忘れて、ドアへ急ぐ。