その男とはそれっきりだ。マトモな人だったのだと考えることも出来るし、それほど私に興味があったわけではないのだと思い切ることも出来る。どちらにしても、終わったことだ。
「その男 スペックは?」
「安曇建設機器、中央研究所の研究員。29歳。東大卒。もうすぐ社費で海外へ留学の予定。」
「うわ、ヒロミチくんよりハイスペック。」
「そっちがいいなら追いかけたら良かったじゃないの。」
「良いかどうかもよく解らない間に終わったんだもの。」
「バカねぇ。もう少し黙っとけばいいのに。」
「うーん。でもそうも行かないじゃない。こっちはお互いの両親を呼んで食事するとか言ってる段階なのに。」
「ヒロミチくんも、ただ捨てるには惜しいのよねぇ。」
ヒロミチくんだって、かなりハイスペックな超優良物件だ。東工大の大学院を出て一流メーカーの研究所に勤務。タバコは吸わない。お酒もたしなむ程度しか飲めない。賭け事もしない。真面目で仕事熱心すぎるけど、浮気の心配も無い。両親は健在で夫婦仲も良くて、私ともお目通り済み。加えて男兄弟の次男。
そういえば、あの人はタバコを吸っていたっけ。お酒もかなり飲むみたいだった。おしゃべりも上手だし、あれだけ積極的な人に彼女がいないのは不思議だ。私と会ったときは、たまたま、前の彼女と別れたばかりか、もしかして二股だったりしたのかもしれない。
「その男 スペックは?」
「安曇建設機器、中央研究所の研究員。29歳。東大卒。もうすぐ社費で海外へ留学の予定。」
「うわ、ヒロミチくんよりハイスペック。」
「そっちがいいなら追いかけたら良かったじゃないの。」
「良いかどうかもよく解らない間に終わったんだもの。」
「バカねぇ。もう少し黙っとけばいいのに。」
「うーん。でもそうも行かないじゃない。こっちはお互いの両親を呼んで食事するとか言ってる段階なのに。」
「ヒロミチくんも、ただ捨てるには惜しいのよねぇ。」
ヒロミチくんだって、かなりハイスペックな超優良物件だ。東工大の大学院を出て一流メーカーの研究所に勤務。タバコは吸わない。お酒もたしなむ程度しか飲めない。賭け事もしない。真面目で仕事熱心すぎるけど、浮気の心配も無い。両親は健在で夫婦仲も良くて、私ともお目通り済み。加えて男兄弟の次男。
そういえば、あの人はタバコを吸っていたっけ。お酒もかなり飲むみたいだった。おしゃべりも上手だし、あれだけ積極的な人に彼女がいないのは不思議だ。私と会ったときは、たまたま、前の彼女と別れたばかりか、もしかして二股だったりしたのかもしれない。


