私達は無敵

 でも今は、こうやって会えるのは多くても年に3回だ。働く私達は忙しい。美樹の不倫も、私の結婚も、単なる近況報告に過ぎず、大事な決断を親身になって語り合える距離ではなくなった。恋も仕事も全て手に入れようとする美樹、生き方を決められない葉子、恋をあきらめ打算で結婚する私、仕事に生きる亜由美。境遇も生き方も違う私達は、お互いがお互いを信頼しながらも、それぞれが違う価値観で違う人生を生きる。

 それでも、私がどんな生き方をしても、例えば、世界中を敵に回すような罪を犯したとしても、多分、彼女達は私を非難しない。見捨てもしない。私も彼女達を見捨てない。実際には何もできなかったとしても、もう二度と一緒にお酒を飲めなかったとしても、私達は死ぬまで、仲間なのだと思う。ヒロミチくんを裏切ることはあっても、彼女達は裏切れない。

 私も、美樹の隣に横になった。葉子と亜由美はもう少し呑むらしい。

「3人の予約で4人泊まってるね。。」
「エキストラベッド。要らなかったね。部屋、狭くなるし。」

 最高級のホテルで高級ワインを飲んで、キングサイズのベッドで、肌触りの良いリネンに包まれて眠る。その全てを自分の稼いだお金で支払う。