「きゃー! 亜由美ィ~!!」
「予定より早く終わったんだ。来てもよかった?」
「あたりまえじゃん。良かったぁ。今回もダメかと諦めてたよぉ。久しぶりぃー。」
「ごめん。何も無いけど、、これ、焼き鳥。」
「焼き鳥だって~!ウケる~!」
「今日は日本酒じゃなくてワインなんだってば。」
「だって、他に店があいてなくて。」
「いいじゃん。焼き鳥。美味しそうだよ。ワインとも意外と合うよ。」
「そりゃ合うでしょうよ。単なる鳥肉料理なんだから。」
「いいじゃん、いいじゃん。」

 亜由美は新聞記者だ。と言っても、一面記事を書くような記者ではなく、今はスポーツ関係を担当していて、紙面にはたまに記事が載る程度。ここ1週間ほど、汚職が取りざたされている都知事に貼り付き要員として駆り出されていた。

「都知事はどうなったの?」
「今日は普通にお出掛けして帰宅した。明日会議だし、今日はここまででいいって。」
「来られて良かったねぇ。前回も地震かなんかで、来られなかったもんねぇ。」
「で、どうなの?みんな最近は?」
「美樹は上司と不倫。千尋はヒロミチくんにプロポーズされて、マリッジブルー。」
「お、とうとう結婚か。おめでとう。」
「それがあんまりおめでたくないみたいなのよ。」
「別に大した問題じゃないよ。結婚式までには切り替えるから。大丈夫。」
苦笑いする私に亜由美は、少し心配そうな顔をしたけど、すぐに柔らかく笑った。