[完結]甘やかし王子様が離してくれません。




「あ、そうだ。これ、お礼」



先輩はそう言って、わたしのブレザーのポケットに何かをつっこんでから颯爽とわたしの前から姿を消した。


先輩、なんで『ばいばい』も言わずに立ち去ったんだろう。



疑問に思いつつ、ポケットに手を突っ込んで中身を出した。


ポケットの中に入っていたのは、今朝自分でポケットに入れたわたしのお気に入りのブルーのハンカチ。

そして……ビニールに包まれた小さなチョコレートがふたつ。



……分かった。
先輩がさっさとわたしの前から立ち去った理由。