「……花絵、うるさい。橘木、俺本当に怒ってないから」



あ……初めて橘木って呼ばれたかも。

……なんでかな。


わたし、ほんの少しだけ自分の苗字が好きになった気がする。



「え……唯衣、もしかして……」



何か言いかけた先輩……花絵先輩をスルーして先輩はソファに座った。


そしてまたわたしを隣に座るようにうながす。



「おいで。……橘木、左利きなら俺も飲み物左側に置いた方がいいよね」