花絵先輩は勢いよく頭を下げた。 デジャブ。 いつかも見た、最敬礼に近い90°のお辞儀。 「わがまま言ってごめんなさい!!」 「……え?」 わたしがお願いする前に頭をあげてくれた先輩は目を伏せてローファーのつま先を見つめながら言葉を紡ぐ。 「唯衣を手放して、だなんてひどいわがまま言ってふたりの仲をこじらせてごめんなさい」 「そんなのっ……わたしこそ、結局遠藤先輩を手放すことが出来なくてごめんなさい」