仮に君と恋をしたなら




母は私の初めて一人で作ったお弁当をのぞき見る。



「ちょっと、触らないでよ!」



私は母の手を払いのけた。



「実都、ちょっと熱いわね。熱あるんじゃない?」



母は私の額に掌を当てて体温を測ろうとした。私は避けて母から離れた。



「ないって!」

「ちゃんと熱測ったの?」

「測ったって、平熱。じゃ、行ってきまーす」



私は大嘘をついた。ここで正直に離して高熱であることがバレたら家に縛りつけられてしまう。急いでお弁当を包んで家を出た。



あ、やば…今、一瞬目眩が…



これは本当に体育祭ヤバイな。種目全滅かもしれない。個人種目は良いとして問題は団体種目だな。迷惑かけられない。



「はよ」



真山が玄関を出て直ぐのところで待機していた。普段は家から死角の角の公園で合流して登校するのに。



「おはよ、びっくりした。何で…」

「顔色悪かったら強制送還してやろうと思って」



顔色?!どうだろ。ちゃんと鏡見てなかったな。



「顔色は…悪くはないけどちょっと赤いな。熱は…」



私は額に触れようとする真山の手から逃げた。