そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!

「私はセレブ妻になれるってこと?」

「え?うん、そうなるかな?」


やはり、人間の心は正直だ。

それを聞いて、わき上がる喜びを隠しきれない。

人には嘘をつくことができても、自分の心にだけは嘘はつけない。


結局金かって?
そんなのどっちでもいいのよ。

純愛ノーサンキュー。
実際愛だけで生きていけるほど、人生は甘くない。

何度でも言おう、私はお金が大好きだ。


「じゃあ、今のこの気持ちを伝えてもいい?」 


そもそも、罪悪感だとか真実の愛うんぬんだとか、悩む必要もなかった。

慎吾が拝金主義な私を受け入れてくれるなら、何も問題ない。


「?どうぞ?」


私たちのやり取りを聞いて、無言で立ち上がって背を向けた大輔に、全身にハテナを浮かべながらも両腕を広げた慎吾。

だけどごめんね、慎吾。
愛を確かめるよりも先に、どうしてもしたいことがある。


このご時世、いつ誰が貧乏になるか金持ちになるかなんて、誰にも保証できない。

きっと転落するときは、一気だ。


金の切れ目が、縁の切れ目。
この先もしも、慎吾が貧乏になった場合、それでも愛せるかなんて分からない。

慎吾が若い愛人に走る可能性も、なきにしもあらず。

 
だけど、そんな先のことよりも、今この瞬間の喜びを叫ばずにはいられない。





「よっしゃあああぁぁ!!」






         (おしまい)