そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!

「前は、家族とは正反対の優しくてしとやかで純粋な女性がいいと思った。
 
でもよく考えたら、そんな女性はあの家族の中では通用しないことに気づいたんだ。

確かに真由は、利己的で拝金主義で腹黒いけど、真由くらい図太くて計算高くてたくましい女性が、僕には合ってるよ。

真由なら、あの人たちとも対等に渡り合っていける」

 
庶民を見下しイビるのが趣味の性悪ババアに、弟の彼女を奪うのが趣味の屈折しまくったサディストの長兄。

あの家族の中じゃ、純粋で心優しい女性はすぐにつぶれてしまうような気もするけど......。

ほめられている気が、全くしない。


さわやかな笑顔の慎吾に、一瞬だけ私以上の腹黒さを感じた。

こらえ切れないように、ぷっと吹き出した大輔の足を踏んでから、上目遣いで慎吾をみつめる。


「そう?慎吾がそこまで私が必要だと言うなら、プロポーズを受けないと悪いわね。
結婚してもいいけど、その前にひとつだけ確認してもいい?」


もちろんと笑顔で立ち上がった慎吾に習い、私も勢いよく立ち上がる。