そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!

「これでも小さい頃から色んな人間を見てきてるし、鈍くはないよ。
真由はお金のことになると目の色が変わったし、時々演技がかってる時もあったよね。だから、強欲なのも腹黒いのも、なんとなく気づいてた」


マジか......と半ば感心したようにつぶやく大輔の声が、やけに遠く感じる。


たしかに、男は女の浮気にはなかなか気づかないっていうのに、慎吾は前の彼女の浮気も知ってた。

つまりお人好しはお人好しかもしれないけど、鈍くはないってこと?

でも、それならそれでますますおかしい。


「知ってたなら、なおさらおかしいでしょ!
何でプロポーズよ?金目的な腹黒女を好きになるはずないでしょ。惚れる要素どこにあったのよ!」 

「母さんたちにも言ったけど、誰を好きになるかは僕が決める。勝手に決めないで」

「でも......」


今までの優しくて穏やかな口調から、少し厳しめの口調ではっきりとそう言った慎吾に一瞬言い負かされそうになってしまったけど、やっぱりおかしくない?

いや、絶対おかしい!