そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!

「肝心なことを言い忘れてた」


何を言われても、受け入れるべきだ。
とっくに覚悟はできている。

唇をかみしめていると、慎吾はまるで海外ドラマでたまに見かけるアメリカのプロポーズみたいに、すっと膝をついて、私の手をとった。


「結婚してください」

「......は?」


何を言われてもいい、とは覚悟してたけど、さすがにこれは予想外すぎ。

大真面目に結婚してください、と言った慎吾に、思わず大輔の声とハモってしまった。


「何言ってるの!?
この前言ったこと聞いてなかったわけじゃないでしょ!?
私は慎吾に金目的で近づいた拝金主義の強欲女よ?」


私が慎吾に苛立つ資格なんて全くないけど、それでもここにきて、まだプロポーズとは意味不明で頭にくる。

お人好しもここまでくると病気だ。
いや、お人好しとかそういう問題でもないのかもしれない。


「知ってるよ。
あのさ......、悪いけど、けっこう前から知ってた」


しかし、慎吾は私の言ったことに動じもせず、私の手を離そうともしないで、苦笑いでそう言ってた。


「......え?」