そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!

だからといって、こんな狙い目物件逃がすわけにもいかない。
  

「......うん、本当に気を付けてね。
あと慎吾、企画書も見ちゃったんだけど、あれ、慎吾が書いたの?」


これ以上さっきの話題を続けていると、良心の呵責に負けそうになるので、ひとまず話題を変えてみることにした。


「ああ、うん、そうなんだ。
あれ見たんだね、......恥ずかしいな」 

「どうして?すごく面白そうだった。
絶対企画通るよ」


私はフロアの受付嬢に過ぎないから、内部の詳しいことまでは知らないけど、慎吾の勤めている会社は、主にお菓子を販売していて、国内シェア率も高い。

有名なお菓子の会社につとめる慎吾。

慎吾の企画書には、恋するお菓子と書かれた企画が書かれていた。

詳しい説明に、分かりやすい図。

甘々な恋の味、少しほろ苦い恋の味とか、色々な恋にたとえて、パッケージもそれぞれ変えるらしい。


「お菓子って、味はたいして変わってなくても、新商品が出たりするとついつい手に取りたくなるよね」


それが、可愛いパッケージなら、なおさら。

しかも色々なバージョンがあるなら、違う味も試してみたくなる。