欲しいものがある。

side~桜庭雄~

塾の帰り道、俺は手に持っている二枚の券を握り締めていた。

顔の前で光沢を帯びているような一枚のチケットこそ、彩から差し出された学園祭の入場券。


もう一枚は、押し付けられるようにして、塾で彩と同じ高校の女子から貰った。

が、俺は左側にある名前も知らない女子からの券をル○ン三世の札を撒き散らすあのシーンのように、何の躊躇いもなく、空中浮遊させてあげた。


その券も俺にではなく、他の人のところへと飛んで行きたいのだろう。

すぐさま俺のもとを離れ、風に乗ってどこかへ消えた。


そう邪険な行動をとりつつも、その女子からの情報はありがたかった。

ミスコンなどという純粋無垢な彩にとって破廉恥な舞台など、立たせるわけにはいかないからだ。

それを回避できたのは今現在、空中浮遊している券の持ち主のお陰なのだけれども。



これが意外と罪悪感を感じない。



と言うのも、その女も、俺が通う大学の女共と然程かわりなかったからだ。


だからこそ、彩に入れ込み裏で手を回して、どうにか振り向かせようとしている。

今となっては、好き、という生ぬるい表現は似つかわしくない程、俺は古川彩が好きで好きで、堪らない。



ここまで人を好きになったことがない俺は、実はこの裏で手を回すという卑怯な根回しも初めてで、俺自身、これからどうなっていくのかさえ不透明。




ただ、必ず手にいれる、ということは決定事項だが。