わたしはスタジオの隅に陣取って、電話をかける。会議中の中里さんを呼び出してもらって、なんとか話をすることに成功して。
状況を説明し、変更点を伝えると、「いいものができるなら」と了解をとりつけることができた。

それからセットの組み直しが始まり、1品1品撮影できるごとに、わたしがそのデータを中里さんへメールで送り、電話で修正点を確認。
それを撮影チームに伝え、微調整の後、再びシャッターが押されて……。

そんなやりとりが何度か続き。

ようやく。

「終わったぁあああ!」
拓巳がスタジオの床にぺたんて座り込んだ。

「お疲れ〜がんばったじゃん新人」

「宮本さん! お疲れ様でした。あ、片づけ手伝います」

「さんきゅー」

なごやかに笑いながら片づけに取り掛かる2人を眺めて、わたしはやれやれって息を吐いた。
なんとか終わってよかった……。

「沢ちゃん」

「あ、高林さん、お疲れ様でした!」

「お疲れ〜無事に終わってよかったねえ」

はい、ってしみじみ頷いた。