「だから、わたしと拓巳は全然、まだそんなんじゃっ」

「うんうん。『まだ』そんなんじゃないよね。『まだ』ね」

「う……」

「ひひ。ま、とにかく、あたしは奈央の幸せ、祈ってるからね」

「……うん。ありがと」

「じゃ、ほんとにあたし先帰るよ?」

「うん。わたしはタクシー使うから」

「カメちゃんち泊まるんなら、一応連絡だけちょうだいね」

「なっ……ななないから!」

ふっふっふ、どうかな〜
なんて、意味ありげな言葉を残して、翠がフロアから出ていく。

まったくもぉ。
一言多いんだから翠は。


さてと……
とにかく、まずは仕事に集中しなくちゃ。