「ねえ、毎日なんであんなにきっちり帰るわけ? 習い事でもやってんのかなあ? フットサルとかテニスとか? 奈央、なんか知ってる?」

「それはその……さあ」
う、言いたいけど……約束は約束だ。

「大事な彼女がストーカーに狙われてるっていうのにさ、まったく」

「いや、だから彼女じゃないから」

わたしの言葉も、「はいはい」って軽く流されて。

「絶対、何かあったら連絡すんのよ。それから、お隣の遠藤さんは、M大女子柔道部の元主将だから、何かあったら夜中でも駆け込んで。わかった?」

ぷっと吹きだしながら、ありがと、とお礼を言う。


今度の週末は、新しいアパートを探しに不動産屋巡りの予定。
2階以上でオートロック、はマストだけど。
その他は、多少妥協しても早々に決めちゃいたいな。

居候生活が続くのも申し訳ないし……。


翠にならってフォークにパスタを巻き付けると、食欲のないお腹に無理やり詰め込んだ。