少し進んだら

「すごいな、小さいのに的確な攻撃位置、力を込めるポイント、急所の場所までも理解している。何者だ?」

突然声が聞こえた

上を向けば塀の上に座ってる人の影が月明かりに照らされ、その人のシルエットが見えた

顔は見えなかったが青色の瞳が見えた

変なやつに見られたと思った

『別になんだっていいでしょ。』

無視すればいいものをあたしは答えてしまった

答えたあたしを満足げに見下ろし

「何をそんなに悩んでるんだ?ガキなのに大変だな!」

鼻で笑い、返答してきた

この男、なんなの?

無視して奥に進もうと思ったら

「あぁ、悪い。気分を害しちまったか?なぁ、俺達の仲間にならねぇか?歓迎するぜ。」

そう言って周りから男達が出てきた

この人数を一人で相手するのはどう考えても不利だ

もちろん、あたしも無傷ではいられないだろう

「ここにいるやつらは、俺の仲間だ。安心しろ、お前を傷付けることはしねぇよ。」

やっぱりこの男の仲間か…

「ここにいるヤツらはな、全員今のお前と同じ目をしたヤツらだったんだよ。だから、お前の悩みもコイツらとなら少しは分かってもらえると思うぜ。どうだ?」

この男の言葉を信用してはいけないのは、分かっていても誰かに知ってもらいたかったんだ。

『本当に?』

誰かに言いたくて仕方なかったことをコイツらなら聞いてくれる?

男は微笑み

「あぁ。」

男を信用したわけではない。

けれど、あたしは

『…あたしの心の声を聞いて。』

助けを求めてしまった

その答えを聞いた男は塀からストンと降りてきて

「あぁ、いいぜ。俺は榊 隼人(さかき はやと)よろしくな。」

そう名乗った

「ちなみに、九龍11代目総長でここにいつ奴らは九龍の仲間なっ!」

とても綺麗な顔と青色の瞳をしていた