その灯火が消えるまで



……これはよくない。




「おまえ、一応女なんだから夜一人で出歩くの、やめろよ」


一応ね。

別にこいつがどうなろうと知ったこっちゃないけどね。


突然誘拐されましたとか言われたらね。

俺、こいつが一人で歩き回ってるの知ってた癖に注意しなかった悪いやつみたいだしね。



「ははは。貴也は優しいねぇ」

「優しくねぇよ。

一人は危ないんだぞ。都会じゃないからとか思ってるのかもしれないけどな、田舎のが危ない。

人も少ないし街灯もないんだからな」



俺はついぶつぶつ言ってしまう。




「…………ははっ」


結灯は笑って、俺に顔を向ける。