「何してんだよっ!」
俺も慌てて土手を降りると。
川を泳いでいた結灯は、段ボール箱を持っていた。
「…貴也っ!これっ!」
たぶん、箱から覗いていたのは、仔犬。
俺も制服のブレザーを脱ぎ捨てて、鞄を置いて、川に浸かる。
「結灯っ!こっち!」
「…っ貴也っ!」
なんとか手を伸ばして箱を受け取って地面に置いて、結灯を振り返ると、結灯もこっちに向かって泳いでいた。
「……ほら」
手を伸ばすと、結灯も手を伸ばす。
目が合うと、結灯は真っ青な顔をしていた。
「結」
バシャン
その瞬間、結灯は気を失い、結灯の手は、
俺の手を掠めた。
「おいっ?!」

