その灯火が消えるまで




「結灯は、誰にも辛いって言わない。


俺にも、灯理にも。


最後まで、自分の中で色んな気持ちを押さえ付けていなくなろうとしてる。


だから、貴也くんに、結灯を預けたい」



「……『だから』って………?」



そう言うと、
ようやく戸塚は表情を緩めた。



「結灯は、心底君を好きだと思うよ」


はい?

そんなこと言ったら、戸塚のことも灯理のことも、瑠衣も翼もそうじゃないの?



不思議そうな顔をする俺を見て、
戸塚はにこにこする。


「君が転校してきてからさぁ、
結灯は君の話ばーっかり!

体の限界まで授業出るし

君の犬の散歩の時間に一緒に話したくて
夜病院を抜け出したりさぁ!


病院の看護師からは愚痴られて、
結灯からは嬉しそうに話されて!」



「………え?病院抜け出してたの………?」