「それはいつも考えてるかも。
全部、全力!
サッカーも、勉強も、友達にも!」
「………全、力」
「貴也ー!何してんのー!やろうぜー」
遠くから、声が聞こえた。
この子は、『貴也』って言うんだ。
「あ、幹歩が呼んでる」
その視線の先には、結構前に貴也が仲間に入れてた子。
貴也くんは、私の前にかがんで。
「元気出た?」
「…………う、うん!ありがとうっ!」
にっ、て笑って。
「じゃあな」
その子はまた、コートへ駆けていった。
迎えに来た、『幹歩』くんと。
きっと、『幹歩』くんも、
あの子に魅せられたんだろう。
『全部、全力!』
その言葉は、私の心に、強く強く響いた。

