「………看護師さん」
「なあに?」
私は、高い階にある、自分の病室から、
毎日、窓から外を見ていた。
お母さんも仕事に戻って。
叶多も、はるちゃんも、灯理も、
誰もいない、寂しい毎日だった。
「あの子たち、病院の子?」
毎日見る子たち。
病院のすぐ目の前のコートで、
サッカーをしていた。
「ああ、病院の子もいるんじゃないかしら。
そこのコート、結構色んな所から子供が集まってるのよね。
病院の子も遊びに言った子がいて、
『すっごく楽しかった!』って帰ってくるのよ。」
「………へえ」
同い年くらいの子たちや、もっと小さい子たちが入り混じって駆け回っていた。
真ん中には、『いつもの』男の子。
「………わかるよ、私。
あの中は、絶対楽しい」

