「あっ!てめえら、ゆうちゃんに近付くなよ!」
ガラッ、とまたドアが開いて。
「灯理」
私の弟の灯理が入ってくる。
「おお、まだ面倒くさい末っ子がいたな」
はるちゃんが笑う。
「灯理、お前ほんとに結灯好きな」
あきれたように叶多が言う。
「うるせえ」
けっ、と言う灯理。
共働きで忙しい両親は、
家で灯理が一人にならないように、
私が家族といられるように。
灯理に毎日、 学校から直接病院に来るようにさせた。
帰りは、仕事帰りの両親と帰る。
だから、夕方は私と叶多、はるちゃんと灯理の四人で笑い合って過ごした。
ひとりぼっちだった病院が、
いつのまにか、
賑やかな私の家になっていた。

