こいつは確か…


「翼」

結灯が言う。

さっき手を挙げた男子だ。


「散歩してて会っただけ」

「な、なんだ」


ほっとしたご様子。

ちょっとなんとなく分かってしまった。



「紹介するね貴也。

この美人な子は!私のオトモダチッ!
野沢瑠衣ちゃんですっ!」


「はは、よろしく貴也くん。


結灯の大親友の瑠衣です。

ところでどうして名前呼び捨て?」


笑顔のはずの野沢は静かに俺に敵意を向けている。


「なんか俺、怒りのオーラを感じる気がするんですけど」


「あら、気のせいじゃない?

たまたま呼び捨てし合ってるからって
たった一晩でこのバカを手懐けたとか思い上がんないでほしいなって思っただけよ」

「バカって、瑠衣ちゃん…」


「…………」