「幹歩」
「なに?」
部活の帰り。
美津は仕事だから、先に帰っていた。
俺は幹歩と二人で、夜の街を歩く。
「おまえ、最近大丈夫かよ」
「……ああ、練習?」
幹歩は妖しげに笑う。
「そうだよ」
「なに?おまえ、俺のが活躍しちゃうって焦り始めた?」
「…………は?何言って、……」
また、幹歩は笑う。
「あははっ!だーいじょうぶだよ!
お前は『デキル奴』なんだから!
あははっ!おかしいなぁ。何焦っちゃってんの?
クールでかっこいい貴也くんはぁ」
「…………」
明らかに、幹歩は歪み始めた。
俺はどこかで、ちゃんと強く何か言うべきだったかもしれない。
気付くべきだった。

