「わたしは牧教授のゼミで学べることを誇りに思っています」
へぇ、と泉がつぶやく。視線が持ち上がるように、すいと動く。
あの、口調だ。
首筋のうぶ毛がぞわりと震える。
———そこに横になって服を脱いで
そう言ったときの目と声。
「なんでそう思うの?」
「教授は・・・惜しみなく持てる知識を与えて、わたしたち学生の指導をして下さいます。
自身の研究でもご多忙な身でありながら」
ふむ、と彼があいづちをうつ。
「———人格的にも尊敬できる方です。
キャリア官僚の地位を手放して、犯罪心理の研究に生きることを選んだんです。無欲で高潔な方だと・・・」
「あのひとほど強欲なひとを、俺は知らない」
それが泉の返事だった。
「教授のどこが強欲なんですか?」
心底驚いて、鞠子は問う。
へぇ、と泉がつぶやく。視線が持ち上がるように、すいと動く。
あの、口調だ。
首筋のうぶ毛がぞわりと震える。
———そこに横になって服を脱いで
そう言ったときの目と声。
「なんでそう思うの?」
「教授は・・・惜しみなく持てる知識を与えて、わたしたち学生の指導をして下さいます。
自身の研究でもご多忙な身でありながら」
ふむ、と彼があいづちをうつ。
「———人格的にも尊敬できる方です。
キャリア官僚の地位を手放して、犯罪心理の研究に生きることを選んだんです。無欲で高潔な方だと・・・」
「あのひとほど強欲なひとを、俺は知らない」
それが泉の返事だった。
「教授のどこが強欲なんですか?」
心底驚いて、鞠子は問う。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)