謎解きソルフェージュ

泉と表に出た。

外の陽光の中で隣を歩くと、意外と上背があることに気づく。

当然のことながら、人より影がうすいとかそんなことはなく、この人は実在しているんだなぁと間抜けな感想を抱く。

「えっと、どちらへ・・」

「俺がときどき行く店でいい?」

「あ、はい」

泉はいわゆる良家のお坊ちゃんだ。
おそろしく高い店に連れていかれたらどうしようと、内心ヒヤヒヤする。

泉はすこし歩いただけで、すぐに路地を折れた。
入ったところに、これまたひっそりたたずむ洋食屋があった。

ドアを押し開けると、お約束のようにカウベルがカラランと音を響かせる。
「いらっしゃいませ」
と出迎えたのは品の良い初老の女性。

磨かれたカウンターの奥に白髪のマスター。おそらくは夫婦なのだろう。