謎解きソルフェージュ

「そういうことだな」

悪い奴と善い人がいて、犯罪者は悪人で、それを捕まえて懲らしめる。
そんな善悪二元論を、今の今まで信じ振りかざしていた自分の愚かしさが、ただただ突き刺さる。

水埜 泉の目にどう映ったことだろう。

「博士にはずいぶんご迷惑をおかけしました」

「そう物わかりがいいと、こっちもなにも言えなくなるんだよな」

ふたりを取り巻く空気が、すこしだけほどける。

「負い目を感じてるなら、昼メシに付き合ってくんない?」

腹が減った、とつぶやく。

そういえばそんな時間帯だ。いやそもそも、この時間を指定してきたのは彼だ。
ひょっとして最初から、この展開を予想していたのだろうか。

天才の思考回路は、もはや鞠子の及びのつくところではない。