謎解きソルフェージュ

泉は動かない。

すこし迷い、彼に頭をむけるかっこうで、靴を脱いで横たわる。
手を胸のまえで組み合わせて、目をつぶった。

なにをされても、恨むまい———
自分にその資格などない。自分が甘受しなければならない痛みだ。


「———ナニやってんの?」

頭上から降ってきた声に、ぱちりと目を開ける。
のぞきこんでいる、泉の顔。

「ぁ、あの・・・取引の・・交換の・」

「まさか、本当に本気にするとは思わなかった」

えっ!? は・・・


「バッくれて、二度と顔を見せないかと思いきや」

えと、あの・・・?

「本当に手を出したら、強要罪と強制猥褻だ。俺は犯罪者になる気はない」

まぁ起きなよ、とやややわらかく言われ、狐につままれた心持ちで身を起こす。

「けっこうな対価は払ってもらったし」

それはあの稚拙なキスのことか。
思い出すと、顔に熱が集まる。