謎解きソルフェージュ

分からない———
分からない・・・・


どのくらいそうしてうつむいて座っていたのか———

ふと目が覚めたように顔を上げると、水埜 泉と視線が合った。
なにも言わずにこちらを見ている。

この人は、すべてを知っていた。

「俺の推論が———当たっていないといいと思う」
「気が進まない」
そう口にしていたこの人もまた、同じように感じていたのか。

それなのに、それでありながら———


“償い”———渦巻きけぶる思考の靄を、それでも言語化しようと試みると、そんな一語があらわれる。

「すみません・・・取引を・・」

もごもごとつぶやくと、足に力を入れて立ち上がった。

泉のかけているソファーは、彼の占めている部分をひいても、長さも広さも十分な余地がある。