ん、
重ねた、なんて言える代物ではない。せいぜいが、かすった、だ。
熱いものに触ってしまったように、一瞬で、びくっと顔を離す。
「・・・・・」
手も離し、身体を起こして無言で彼を見下ろす。
全力疾走した後のように、息が苦しい。
———これでいいんでしょう
そう言いたいのに、口に出せない。なんて臆病なんだろう。
———この程度でキスなの、きみにとっては?
・・・はいそうです。
———ひょっとして初めて?
・・・はい。
あらゆる負の想像が脳内を渦巻く。
「———ありがとう」
・・・は?
こちらを見上げて、泉は確かにその言葉を口にした。
重ねた、なんて言える代物ではない。せいぜいが、かすった、だ。
熱いものに触ってしまったように、一瞬で、びくっと顔を離す。
「・・・・・」
手も離し、身体を起こして無言で彼を見下ろす。
全力疾走した後のように、息が苦しい。
———これでいいんでしょう
そう言いたいのに、口に出せない。なんて臆病なんだろう。
———この程度でキスなの、きみにとっては?
・・・はいそうです。
———ひょっとして初めて?
・・・はい。
あらゆる負の想像が脳内を渦巻く。
「———ありがとう」
・・・は?
こちらを見上げて、泉は確かにその言葉を口にした。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)