謎解きソルフェージュ

ん、

重ねた、なんて言える代物ではない。せいぜいが、かすった、だ。

熱いものに触ってしまったように、一瞬で、びくっと顔を離す。


「・・・・・」

手も離し、身体を起こして無言で彼を見下ろす。
全力疾走した後のように、息が苦しい。

———これでいいんでしょう

そう言いたいのに、口に出せない。なんて臆病なんだろう。

———この程度でキスなの、きみにとっては?
・・・はいそうです。
———ひょっとして初めて?
・・・はい。

あらゆる負の想像が脳内を渦巻く。


「———ありがとう」

・・・は?

こちらを見上げて、泉は確かにその言葉を口にした。