謎解きソルフェージュ

美也が借りていた部屋の間取りは1Kだ。
玄関からフロリーングの廊下が三メートルほど続き、途中にバストイレがある。
その奥に対面式のキッチンと八畳ほどの洋室がある。

犯人は廊下から死角になるキッチンに潜んでいたと推察される。
なにも知らずに帰宅した美也は、廊下を通り過ぎたところで、なすすべもなくおそらくはほとんど悲鳴をあげることもできずに、めった刺しにされ絶命した。

血の海になったフローリングの床に、持っていたスーパーの買い物袋の中身が散らばった。


兄の和也は美也を訪ねて、ブロック塀から飛び降りて逃走する男の姿を目撃した。
美也には「7時頃行く」と告げていたから、時刻はその前後ということになる。
暗くてよく見えなかったが、身のこなしの軽い、細身で長身の男性だったと和也は証言した。

一瞬、空き巣を疑い、追いかけようかと思ったが、それよりも妹の身が案じられ、慌てて部屋に向かった。
鍵がかかっていたので、持っている合鍵で部屋に入った和也を待っていたのは、最悪の光景だった。