謎解きソルフェージュ

そしてもうひとつ———

被害者の遺体のわきに、被害者の血である記号が描かれていたのだ。位置から被害者によるダイイングメッセージではなく、加害者の手によるものと結論づけられた。

「卍」

その写真も資料に添付されていた。血で雑になぞられた鉤形の組み合わせ。

日本国においては、仏教を象徴する記号であり、寺院を表す地図記号として、小学生にもなじみがある。

フローリングになすり書きされ、天地は不明だ。たとえば角度を変えてみれば、連想されるものも変わってくる。

「ハーケンクロイツ」
ヨーロッパ全域で、ナチスドイツの党章として忌まれる鉤十字だ。

第一の事件は「文京区音羽 会社員刺殺事件特別捜査本部」として音羽警察署に特捜本部が設置された。

———その三ヶ月後、第二の事件は師走に起こった。