謎解きソルフェージュ

とりあえず時系列順に一束ずつ、彼の前に並べてゆく。
泉はその様子を漫然とながめている。

彼はくすんだ色合いの生地に、はばたくツバメが全面に描かれたシャツと色の落ちたデニムに、革靴という格好だった。室内でも靴、というのがこの屋敷のルールのようだ。

柄のシャツは欧米系のファストファッションの製品を思わせるが、デザイナーズブランドといわれればそうとも見える。
デニムも単に履き込んでいるものなのか、実は高価なヴィンテージ品なのか、鞠子には判然としない。

シャツはボタンを二つ開けて・・・おっと左ボタンだ、女性物?

書類を並べながら、こっそり泉を観察するが、確かなことはなにも掴めないクラリス鞠子だった。


「中身の説明は受けてる———?」
書類に目を落としたまま、泉がつぶやく。

「———いちおう簡単に教授に教えていただきました。あとは自分ですこし情報を集めました。ネットとか新聞とかで・・・」