謎解きソルフェージュ

「おじゃましました、ではこれで・・」
ぺこりと頭をさげ、

「ん、待って」
言葉をさえぎられ、伸びてきた手にきゅっと手首をつかまれた。
心臓がわずかにバウンドする。

「資料、並べてくんない? 面倒くさくて」

面倒くさいって・・・

面食らいながら、アタッシュケースに手をかけて気づく。

「あの、わたしは開けられないんです。解錠のナンバーを知らないので」

大儀そうに、泉がアタッシュケースに手をのばす。迷いのない手つきからすると、解錠ナンバーはしっかり頭に入れてあったようだ。

ロック解除レバーをスライドさせフックを外すと、泉はすぐに手を引っこめた。

やれってことですか・・・

なんだろうこのひと、と内心つぶやきながら中の書類を取り出す。
内容はかなり雑多だ。
ファイルに閉じてあるものもあれば、クリップで留めてあるだけの束あり、ノートあり、写真が添付してあるものあり。