高校3年。季節は梅雨。

雨がしんしんと降り続き、窓の外に水の粒が張り付いている。

教室がやけに静かで、それが地面に当たる音が聴覚を刺激する。

雲の層が厚いのか、暗く、どんよりした真っ黒な空が一面に広がっていた。

ふと、窓に不機嫌気味の顔が映る。

眉の上できっちり切り揃えられた前髪に、きゅっと小さく結ばれた唇。

これ以上ないほどに目が細められ、眉と眉の間にシワが寄っている。やはり不機嫌顔だ。

それが自分だと気付くまでに数秒かかった。

そこで私は、口角を持ち上げて笑顔をつくろうとするが、

「はぁ…」

思わずため息が漏れる。

私は、雨があまり好きではない。

なぜか、悲しく、悔しい気持ちで心が満たされるからだ。

特にこんな日は、その度合いがひどい。

早く雨が止んでほしい、と思いながら、窓に映る自分と違う意味でのにらめっこを続ける。