「みぃっあぁーーーー!!!!!!!起きろ!」
「んっ〜……?」
「オハヨ。朝だよ、お祭り当日だよ!」
重たいまぶたをゆっくりともちあげる。
夜閉めたはずのカーテンが開いていて、太陽の光が部屋に入り込んで目にしみる。
同じ部屋に泊まった親友でありよさこい仲間の藍原 柚姫音 (あいはら ゆきね)が開けたんだろう。
因みに柚姫音(通称ゆきちゃん)は同じ踊り子でインストラクターだ。
そして、一目見れば誰もが "美少女" と口を揃えて言うだろう。
背も168センチと高めでスラリとのびた足。
まるでモデル顔負けの容姿をしていて当然、モテる。
そんな彼女とは中学生のときによさこいのチームメイトとして知り合った。
が、その時は仲がよかった訳では無い。
あくまで "チームメイト。"
仲が良くなったのは高校生になってから。
たまたま同じ高校に入学していてよく話すようになり "親友" と呼べるような仲になったのだ。
「おはよぉ…」
「はやくシャワー浴びて着替えてきて!そしたら食堂にいくよ」
わたしよりはやく起きたゆきちゃんはもう準備万端。
きっと、他の部屋のひとたちももう準備をはじめている。
それより…あれは食堂じゃなくてレストランだよ。
と、ココロの中でつっこんでおく。
「ね〜、今回も朝食のあとに代表のありがたぁ〜いお言葉があるの?」
"ありがたい" などと表現してはいるものの、実際はありがたいことなど1ミリもない。
こんなこと言ってはいけないがむしろ、迷惑。やめてほしい。
…だって、話がめちゃくちゃ長いんだもん!
代表のする話は長い割に面白みにかける。
聞いてる側としてははっきり言って地獄だろう。
「……望天、それ毎回言ってるよ。それで私は毎回"ある"っておんなじ答えを返してる気がするよ。」
「ゆきちゃんはよくマジメにきいてられるよねぇ…」
わたしには絶対ムリ!!!!
「私は何気おもしろいとおもうんだけどなぁ。」
…よくわかんないなぁ。
「ほら、望天。しゃべってないでさっさと準備して」
チラリ、と時計を見る。
まだ7時前だ。
ホテルの食堂にメンバーが集まるのは大体8時過ぎてから。
ゆっくり準備しても全然間に合う時間。
それでも、ゆきちゃんが急かしてくる理由は一つ。
ゆきちゃんが片想いをしている相手が早めに食堂に現れるから。
ゆきちゃんが片想いをしているのは同じよさこいチームのメンバーであり、同じ高校にかよう同い年の早河 諫海 (はやかわ いさみ)。
優しくてまとめ役な結構な高身長のイケメンである。
諫海は旗振りをしている1人。
まぁ、イケメンなだけにライバルも多いわけでゆきちゃんも焦っているんだろう。
「ゆきちゃん、準備終わったよ。行く?」
シャワーを浴び、髪を乾かして着替えた。
浴室をでるとゆきちゃんがソワソワしながらイスに座わり、顔をうつむかせていた。
