キミに会うたびふえる好き


「あ、人いる…」


望天たちよりもはやく朝食を摂っている人たちがいた。


「あぁ。でも、チームの人間じゃない。」



知らない顔だ、チームの人間ではない。

チームの人だったらあいさつをしなくてはならない。



「一般の人もいるんだ、迷惑行為はやめなよ?」



と、保護者同然にさとす諫海。

なに、わたしたちって諫海に小学生とでも認識されてるの?


ビックリだ。



「で、どこ座る?」



自由席らしい。諫海はききながら良さそうな席を探している。


どうやらこのレストランの朝食はバイキング形式らしく、自分で自由に料理をお皿に盛って選んだ席で食べる。



「あそこら辺…でいいんじゃない?」



そう言って柚姫音が指さしたのは出入口から遠く、料理に近い端っこの方。


出入口に近いとあとからくるメンバーへのあいさつが大変だし、料理に遠いとたくさん食べる灯夜がいちいち取りに行かなくてはならずかわいそうだ。



「お、いいじゃん!そこにしよーぜ。」


「真ん中だと代表の話のときに隠れてご飯食べれないしね?」



と言った望天。

因みにこれはイヤミとかでは全くない。


望天と灯夜はいっちゃえば同類だ。


代表が話してるときに望天はデザートを、灯夜は主食など諸々を、隠れて食べている。


柚姫音と諫海はもちろんそのことを把握していて、2人のために席を選んでいたりする。


メンバーで知ってる人は結構いるが黙認されている。



「あんたたちって、仲がいいのか悪いのかわからない…」


「どゆこと??」



諫海と灯夜が先に料理をとりにいきわたしたちは2人が戻ってきてから行く。


その間に突然、柚姫音に投げかけられた質問に望天は戸惑う。



「よく言い合いとかしてるじゃない、さっきのエレベーターみたいに。
その割に仲良さそーに会話してるからさ。」


「よくわかんないけど、わたし灯夜のことキライじゃないよ。」



たしかに言い合いはするけどケンカではないし。



「まぁ、望天が素直に本音を言ってるってことは、ココロを許してるってことなんだけど。」


「…?本音?」


「そう。望天って信用してなかったり、ココロ許してない人にはめちゃくちゃ塩対応だよ…自分でもわかってるでしょ?」



そう言われると、たしかに…ってなる。


初対面のひとや信用してない人にタメ口は絶対に使わないし、本音も言わない。



「それに、無表情…というより、仏頂面以外の顔をしないわよ?」


「え…そう?」


「うん。望天が色んな表情をみせるのはココロを許してるひとにだけ。それか…よさこいをしてるときか、甘いモノを食べてるとき」



わたしって…そんなに、仏頂面なの?

頑張って表情作ってる方だとおもうんだけどなぁ…