HEAVEN ROAD

その時、豊の蹴がジュンのお腹の辺りに命中した。



「よそ見してる暇なんかあるのかよ?」



勝ち誇ったような豊の言葉にもジュンはヘラヘラと笑っている。



誰がどう見ても、豊が勝っている。



傷一つ付いていない豊の顔には余裕さえ見えているから。



「ほらっ。手に入れろよ。好きにしていいぞ」



蹲りながら発したジュンの言葉で宗があたし目がけて飛び付いてくる。



逃げなきゃ不味い。



そう思ったけど、宗の右手に光るものがあたしの首元に触れるほうがほんの僅か早かった。



「てめぇら……」



振り上げていた拳をダランと下ろす豊。



「今日の喧嘩にルールなんて決めていなかったよな?」



ジュンは立ち上がり、豊の頬を思い切り殴る。



あたしのせいだ……



いつの間にかヘブンの奴らがあたし達を取り囲んでいる。



その後ろには床にのびている、沢山の男達。



勝つはずだったのに……



あたしのせいでヘブンが負けてしまう。