豊が立ち上がるのが先だったか、秀が屋上に飛び込んできたのが先だったかわからないけれど、屋上に張り詰めた空気が一気に流れ始める。



「来い」



そして、数分後……



あたしは腕を捕まれ、屋上から連れ出される。



聞きたいことは沢山ある。



でも、不安が押し寄せる今のあたしには豊の腕にしがみ付くのが精一杯だった。



「家だ」



車に乗るなり、大輔さんに怒鳴る豊の様子を見ていると、これから起こることがただ事ではないってことだけはわかっている。



あたしは震える手を膝の上で握り締めながら豊にはばれないように我慢していた。



豊の家には秀と翔が既に来ていて、それ以外の顔ぶれも揃っている。



時計の針と同じように時を刻むあたしの心臓。