「秀ちゃん達は高校最後の夏休みでしょ?だからみんなには笑って過ごしてほしい。毎日は無理でもすべてを忘れて一日くらい笑って過ごしたっていいと思わない?」



「そうだな……」



今年度に入ってから、ヘブンの奴等はいつも疲れきっていた。



色々なことが起こりすぎて、確かに笑顔なんて見ていないような気がする。



「だから、お願い。カナに協力してもらわないと出来ないの」



再び手を合わせる明美。



明美の言うように一日くらいいいのかもしれない。



高校最後の思い出って奴を作るためにあたし達が何かしても、そのくらい許されるんじゃないかって思う。



「わかったよ。で、何をすればいい?」



「ありがと。カナ」



ベッドの端に明美に背を向けるように腰掛けていたあたしの背中に抱きつく明美。



「くっつくな。暑さが倍増する」



「ごめんごめん」



「だから、あたしは何すればいいんだよ」



「早速、作戦会議だね」と意気込む明美はノートと鉛筆を取り出して、あーだこーだ言っている。



明美の笑顔はホントにいいな。



あたしはこんな風に人を和ませるように笑うことなんて出来ないから明美の笑顔が羨ましい。