相変わらず背中を向けたまま、あたしに怒鳴りまくる豊。 「あたし、腹だけは強いんだ」 「お前と話してたら疲れる。帰るわ」 あたしだって疲れるわ。 「じゃあ」 豊はそう言うと階段を降りて行った。 「豊、ありがとな」 体を半分だけ外に出して、豊の背中に向かって礼を言うと、左手を高く上げてくれた。 案外言い奴じゃん。 あたしは紙袋と鞄を抱え部屋に戻る。 紙袋の中には風邪薬とまだ温かいタッパーが入っていた。