7月中旬。



外を歩いていると、体が汗ばむような時期になってきた。



明美の傷は意外と早く治っていき、後は足のリハビリだけ……



あたしは毎日明美の病室に顔を出し、その度に静香の顔を見に行っていた。



でも、静香が言うように薬の副作用とは思えないほど、一日一日静香の様態は悪くなっていくように感じていた。



あたしの顔を見るたびに笑顔を作る静香を目の前にして、本当に薬のせいなの?なんてことは口にすることができなかった。



そんな風にあたしが病院通いをしている頃、豊達はバーバリアンを必死に探していた。



もちろん学校には行きながらだったけど……



あたしも学校にはきちんと行っていた。



「カナ、海行きたい!!」



「はっ?」



リハビリを終え、汗をタオルで拭いながら明美が笑顔であたしの顔を見つめる。



コイツがこういう顔をしているときは何かを企んでいる時。



「海行こうよ!!」



松葉杖をベッドの横に立てかけて、横になった明美は物凄く楽しそう。



「足が治ったらな」



あたしは明美にタオルケットをかけながら言い聞かすようにそういった。



でも、明美が素直にウンと言うはずなんてない。