「毎朝、毎朝、さっさとしろよ」



「わかってるって。後1分」



「支度に時間がかかるなら、早起きしろ」



「朝苦手なんだよ!!」



鏡の前で髪をセットしながら伸びたよな……と毛先をクルンと持ち上げた。



「もう1分たったぞ」



まずい。



こんな風に暢気にしている暇はなかった。



あたしは慌てて鞄を掴み、玄関へと走る。



そこには痺れを切らした豊の姿が……



「悪りぃ、悪りぃ」



「いいからさっさとしろ」



いつもより少し遅れただけじゃねぇか。



そんなことで一々目くじら立てんなよな。



心の狭い男だ。