発する言葉がその人のすべてじゃない。



それをあたしはもっとわからなきゃいけないんだ。



目に見えるものだけが、すべてだと思い生きていったらきっと後悔する。



大切なものを見落としてしまう。



有田が言っていた事をやり遂げるためにも、あたしはもっともっと人の事を知る努力をしなきゃいけないな。



「カナ。このことは誰にも言うなよ」



いつもの佐枝子さんに戻ると、あたしの頬を両手で挟み、威嚇してくる。



「言わない」



「絶対だぞ」



「絶対言わない」