HEAVEN ROAD

「いつまで突っ立ってんだよ」



「あっ、あぁ」



豊に話しかけられても、あたしはこの目に写っていることが現実のものだと理解できないでいた。



動かないあたしの腕を引っ張るように足を進める豊。



それぞれがいくつかの輪になって集まり、騒いでいる人達の横を通り過ぎ、奥へ奥へと向かっていく。



これは例えるなら、料亭……



いやっ、違う。



時代劇だ。



テレビで見た時代劇とそっくりなこの光景。



ここにいる人たちが着物を着ていれば、テレビの中の世界だ。



奥に行けば行くほど、見慣れた顔の面子が揃っている。



そして、あたしの目に写ったのは……




「えっ?どうして。」



思わず両手で口を覆うあたし。



豊に引っ張られている体も動かなくなってしまう。



「どうして……」



どうして、ここにいるの?



沢山の人に囲まれているその人は昔と変わらない顔付きでそこに座っている。



「毎年来てる」



あたしの独り言に答えてくれる豊。



「行くぞ。アイツがお前に会いたがってる」



「でも……」



あたしはなんて言えばいい?



言いたいことは沢山あるけど、何を一番先に言えばいいのかわらない。



「ほらっ。行くぞ」



あたしを引きずるように豊は再び歩き出した。