「楽しくてニヤついてたんじゃない。あたしは翔の笑顔まで奪ってしまうのかって不安だったから」



「カナちん?」



「あたしは宗から大切なものを奪った。太陽みたいな笑顔も優しい言葉も……楽しかった時間も。そして、苦しめた挙句に宗を変えてしまって、宗から逃げた」



「カナちん、それは……」



翔が何かを言おうとしたけど、あたしは言葉をかぶせるように話を続けた。



「だから、翔に宗の事を話すことによって翔の笑顔まで奪ってしまったらどうしようって怖かった。でも、翔は笑ってくれたから……嬉しくて」



「カナちん……俺、泣きそう」



翔はあたしの腕に自分の腕を絡め、ギューっと力を入れてくる。



「気持ち悪りぃから泣くなよ。とそんな翔に豊の冷たい一言が……